4AM CHICK午前四時のひよこ← Discography
アイデンティティ ジャケット

03 — Album

アイデンティティ

IDENTITY

「自分らしさって、なんだろう」という問いから生まれたアルバム。

Listen

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Liner Notes

作品を読む。

『アイデンティティ』は、「自分らしさって、なんだろう」という問いから生まれたアルバムです。

ポップ、ロック、エレクトロニカ。かわいいもの、不穏なもの、笑えるもの、少し痛いもの。曲が変わるたびに、音楽も、景色も、語っている人間の顔さえ変わっていきます。

ひとつのジャンルにまとめようとすれば、きっとまとまらない。ひとつの言葉で説明しようとしても、どこかがこぼれ落ちる。

でも考えてみれば、人間だってそうなのかもしれません。強い日もあれば、弱い日もある。笑い飛ばせることもあれば、どうしても忘れられないこともある。昨日と言っていることが違う日だってある。

それでも、そのすべてを選び、作った人間は同じです。

「自分らしさ」とは、ひとつのスタイルを守り続けることではなく、矛盾も変化も含めて、自分なのではないか。

だからこのアルバムでは、バラバラなものを、バラバラなまま閉じ込めました。いろんな自分がいていい。矛盾していてもいい。かわいくても、変でも、暗くても、くだらなくてもいい。

その全部を含めて、『アイデンティティ』です。

Track by Track

一曲ずつ、
物語を読む。

01レトロフューチャー

子どもの頃、段ボールで人形の家を作っていました。

カーテンは、おばあちゃんにもらった端切れの布。決して上手にできたものではなく、親に見せたら笑われたけれど、自分ではその不格好な家が好きでした。

二十歳の頃は、朝まで絵を描いていました。周りから見れば、ちゃんと前へ進んでいないように見えたのかもしれません。自分でも取り残されたように感じることがありました。

それから何十年も経ちました。気づけば今も、やっていることはあまり変わっていません。

昔は紙や段ボールや布を、切って、貼って、繋いで、折って。今は音や言葉や映像、そしてAIという新しい道具も使いながら、頭の中にあるものを形にしています。

道具は変わった。時代も変わった。でも、空想することだけは変わらなかった。

「インプットして、アウトプットして」という言葉は、そんな自分の創作そのものです。見たもの、聴いたもの、経験したことを頭の中に取り込んで、それをまた別の何かにして外へ出していく。

昔も、今も、未来も。全部が頭の中で混ざり合って、ひとつの空想の世界になっていく。

『レトロフューチャー』は、未来について歌った曲というより、何十年経っても空想で遊び続けている人間の歌です。そしてたぶん、明日も、明後日も、明々後日も。私は何かを作っているんだと思います。
02わからないまま

人の気持ちは、わからない。

昨日まで普通に笑っていた人が、今日は少し遠く感じる。何かしただろうか。何か言っただろうか。

答えなんて本人にしかわからないのに、頭の中では「答えのない答え合わせ」が始まります。

この曲に出てくるのは、そんな小さな不安と、たくさんの矛盾です。近づきたいのに、近づきたくない。知ってほしいのに、知られたくない。ひとりでいたいのに、ひとりはさみしい。

「生きていたくない。でも死にたくもない」という言葉も、その矛盾のひとつです。何か大きな絶望があるわけではない。ただ、毎日を繰り返すことが、なんとなく少しつらい。

明日なんて来なくてもいいと思いながら夜を過ごしても、カーテンの隙間は白くなって、また朝が来ます。そして朝になれば、コーヒーを淹れる。お腹が減れば、何かを食べる。

生きる理由なんてわからないのに、身体は当たり前のように今日を始めてしまう。そのことが、ふと少し可笑しくなる。

この曲では、最後まで何ひとつ解決しません。人の気持ちもわからない。自分がどうしたいのかもわからない。なんで生きているのかもわからない。

『わからないまま』は、答えを見つける歌ではなく、答えが出ないまま今日を生きている人の歌です。わからないまま。それでも、今日も朝になる。
03マネー Money

愛とお金。どちらが大事かと聞かれたら、「愛」と答えるのが正解のような気がします。でも、本当にそうでしょうか。

好きな人に喜んでもらいたくて、ごはんをご馳走する。プレゼントを買う。少し背伸びをして、高い店へ行く。最初はただ、笑顔が見たかっただけ。

ところが、お金を使えば使うほど、だんだんわからなくなってきます。自分はいったい、何にお金を払っているんだろう。相手が喜んでくれる時間なのか。愛されているという安心なのか。それとも、自分自身の価値なのか。

「君の笑顔はいくらですか?」「いくら払えば愛されますか?」そんな問いを繰り返しながら、財布は軽くなり、なぜか心は重くなっていきます。

もちろん、愛はお金では買えません。人の心に値札はついていない。だからといって、「お金なんてなくても、愛さえあれば幸せ」と言い切ってしまうのも、なんだか違う。

お金は、ないよりあったほうがいい。愛も欲しい。幸せにもなりたい。だったら全部欲しがったっていいじゃないか。

『マネー Money』は、お金を否定する歌でも、愛を美化する歌でもありません。
04くだらな。

「言い方が悪い」そう言われると、一度立ち止まって考えます。そんなに悪かっただろうか。もっと違う言い方をするべきだっただろうか。

人に嫌われないように。間違えないように。空気を読んで、言葉を選んで、なるべく誰も傷つけないようにする。大人になるほど、そういうことは上手になっていきます。

でも、それを繰り返しているうちに、自分の尖ったところを少しずつ削って、誰かの考える「普通」の形に自分を押し込めていることがあります。

笑いたくなくても笑う。嫌なのに「いいよ」と言う。何かを感じても、間違っているかもしれないから口にしない。それを続けた先にいるのは、本当に自分なんだろうか。

そんなことを考えていたら、ひとこと出てきました。「くだらな。」

もちろん、人を傷つけてもいいという話ではありません。言葉を選ぶことも、相手を思いやることも必要です。

それでも、どれだけ気をつけたって、全員にとっての「正しい人」にはなれない。誰かにとって正しい自分は、別の誰かにとって間違った自分かもしれません。

だったら、誰かの正解になるためだけに、自分の感情までなくす必要はない。尖ったままでもいい。不器用でもいい。欠けているところがあってもいい。

間違えることもあるし、嫌われることもある。その結果、ひとりになる夜だってあるかもしれない。
05Silece

たった2錠。それを飲むと、「彼」がやってくる。

少しずつ意識が遠くなり、感覚が鈍くなっていく。身体は眠ろうとしているのに、頭の中ではまだ思考が走り続けている。

「これで眠れるよ」そう言って現れる彼は、優しく抱きしめてくれるわけでも、何かを話してくれるわけでもありません。ただ、疲れ切った頭の中の明かりを消していく。

この曲では、薬によって訪れる眠りを、“cold, mechanical sleep”——冷たく機械的な眠りとして描いています。

眠りたいのか。眠りたくないのか。自分でもよくわからない。本当は薬を飲みたくない。それでも身体は疲れていて、夜はやってくる。

そしてふと、「もし、あなたが隣にいてくれたなら」と考える。誰かの温もりの中で眠ることができたなら、この冷たい「彼」は必要なかったのだろうか。

けれど、その人はもうここにはいない。だからまた、古い友人のように彼を待つ夜が始まります。

夢もない。音もない。光もない。
06君は恋愛アレルギー

この曲の主人公は、ちょっとこじらせた男の子。心の扉は固く閉じたまま。そこへ突然、何も知らない天使がやってきます。

「こんにちは!」「名前はなに?」「好きな食べ物はなに?」天使に悪気はありません。ただ笑いかけて、彼のことを知ろうとしているだけ。でも彼にとっては、それだけで大事件です。

心臓は破裂寸前。逃げ道を探して、ついには天使を置き去りにして走り出してしまいます。ここまでは、恋愛が苦手な人を描いた少し可笑しな物語。

でも、彼が逃げ出したところから、この曲は少しだけ方向を変えます。「大丈夫、わたしもついていくから」彼を引き止めるのではなく、一緒に逃げる人が現れます。

恋愛できるようにならなくてもいい。天使を好きにならなくてもいい。友達でもいいし、何なのかわからない関係でもいい。

好きなのか。嫌いなのか。恋なのか。愛なのか。人と人との関係には、いろいろな名前がつけられます。

でも、そのどれかを急いで選ばなくてもいいんじゃないか。わからないものは、わからないままでいい。
07いいこ、いいこ。

頭を撫でてもらう。ただそれだけのことなのに、不思議と安心する。「いいこ、いいこ。」そうされている間だけは、自分が大切にされているような気がする。

でも、ある日、その人が別の誰かと歩いているところを見かけます。あの子にも同じことをしているのかな。そう思った瞬間、今まで心地よかった「いいこ、いいこ。」は、少し違う意味を持ち始めます。

寂しい。悲しい。羨ましい。そして、嫉妬している自分まで嫌になる。

「恋なんてしたくない」「君なんて、どうでもいい」そう言えたら楽なのに、言えない。

本当は、いいこになりたいわけでもありません。誰かに褒められたいわけでもない。ただ、その人のそばにいると安心できた。そして、その安心が自分だけのものであってほしかった。

「わたしだけの『彼』になってよ」という言葉には、好きな人を所有したい気持ちと同時に、自分がその人にとって特別な存在であると確かめたい気持ちがあります。

人を好きになると、いつも綺麗な感情だけが生まれるわけではありません。嫉妬もする。独占したくもなる。そんな自分を情けないと思うこともある。
08アイデンティティ

十代の頃、自己肯定感がとても低くて、毎晩のように自分を反省していました。どうしてこんなに苦しいんだろう。こんなの、本当の自分じゃない。もっと違う自分になれたら、きっと楽になれる。そんなことを考えていたティーンエイジャーでした。

二十代、三十代になると、今度は「何者かになりたい」と思うようになりました。ここでいう「何者か」とは、本当の自分を見つけるということではありません。何かで成功すること。自分の作ったものが認められること。「私はこれを成し遂げた」と言える人になること。

絵を描いたり、ものを作ったりしながら、いつか自分もそんな「何者か」になれるんじゃないかと思っていました。でも、なれなかった。少なくとも、若い頃に思い描いていたような「何者か」には。

それから四十代、五十代になって、少しずつ考え方が変わりました。どんなに考えたって、私は「わたし」でしかない。

だったらもう、アイデンティティ。だから何? 自己肯定感が高いとか低いとか。成功したとか、しなかったとか。何者かになれたとか、なれなかったとか。そんな言葉で自分を測り続けることが、だんだんバカバカしくなってきました。

だからといって、夢を諦めたわけではありません。

作りたいものは、まだたくさんある。
09賞味期限

冷蔵庫を開けると、いつからそこにあるのかわからない調味料がいる。賞味期限を見る。切れている。でも、まだ使えそう。捨てるのはもったいない。そんな、ごく普通の日常から生まれた曲です。

そこで、ふと思いました。私にも賞味期限って、あるのかな。

若さや新しさには、いつも価値があるように語られます。新鮮なもの。旬のもの。これから伸びるもの。では、時間が経った人間はどうなるんだろう。

味は、昔とは変わったかもしれない。見た目だって変わっていく。でも、それは「もう使えない」ということなんだろうか。

そこで自分を調味料にしてみました。まだまだ使える、私、調味料。かなり変な言葉です。

でも、調味料って面白い。主役ではないけれど、そこに少し加えるだけで味が変わる。長く使っているからこそ、いつもの味を作ってくれるものもある。

人間だって、案外そんなものかもしれません。
Bonus Trackサイレース

アルバム本編に収録した英語版『Silece』を、日本語で描いたバージョンです。物語も、登場する「彼」も同じ。

たった2錠の薬を飲むと現れる、無機質な睡魔。身体は疲れているのに頭だけが冴えている夜、少しずつ意識を暗闇へ連れていく存在です。

英語版では、言葉の響きや音楽と一体になった世界として描きました。そしてアルバムの最後に、ボーナストラックとして日本語版を収録しました。

英語では少し距離を置いて眺めることのできた言葉も、日本語になると、もっと直接的に耳へ入ってきます。「薬なんか飲みたくない」「眠りたくなんかない」それでも身体は疲れていて、眠らなければ朝を迎えられない。

もし君が隣にいたなら、薬なんてなくても目を閉じられたのだろうか。でも、君はいない。だから今夜も、「彼」がやってくる。

英語版と日本語版は、同じ夜を描いた二つの『サイレース』です。日本語版は単なる翻訳というより、英語版で描いた夜を、もう一度、自分の言葉で見つめ直したものになりました。

夢も、音も、ぬくもりもない。ただ静かに意識が落ちていく。そしてアルバムの最後に、彼がもう一度囁きます。「これで眠れるよ」

『アイデンティティ』の本編を聴き終えたあとに残された、もうひとつの夜。日本語版『サイレース』は、このアルバムのボーナストラックです。

アイデンティティ — Credits

Creative Direction4AM Chick
Lyrics4AM Chick
Music Production4AM Chick × Suno AI
Visual Direction4AM Chick
Artwork4AM Chick × Generative AI
Music Video Direction & Editing4AM Chick
AI Video GenerationGrok / DomoAI
Creative SupportChatGPT
Produced by4AM Chick
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